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研究紹介


新たな可能性の創出

従来の取組みを更に強化し,第二期寄付講座として継続することになりました。私達は,配管の原点に返って,材料,加工法,管内流動,固体流動,設計法などの先端研究から,その応用までを対象にし『次世代配管システム構築』を目指しています。また開発の理念として,一企業の利益を追求するのではなく,大学支援を通して,社会全体の利益につなげることを目標にしています。過去三年間の成果は,単独では解り難いかもしれません。しかし全体を関連付けて行くと,装置の血管とも言える,配管の理想形が『未来の配管システム』として見えて来ます。私の取組みは,企業側からの教員として,大学の先端研究と企業の物作りの現場を直結し,その研究成果を基にした新たな可能性の創出にあると考えています。第二期は,従来以上の成果が期待され,弊社がこのような形で,社会の基盤技術の発展に継続して寄与できることも素晴らしいことであり,期待いたします。





主担当:黒須 寛


プラスチック配管の制振技術と
加工技術に関する研究

プラスチック配管は軽量で施工性がよい,可とう性があり自由に曲げられるなどの金属にはない優れた特質を有するため,各分野において配管として使用されています。ここでは以下の二つの研究を中心に行います。①配管の制振技術の研究。②プラスチック管の曲げ加工技術の研究。①では,配管材料自身が持つ特性を利用して配管の制振を図ります。特にPVDF(ポリフッ化ビニリデン)の持つピエゾ機能に着目して,配管の振動減衰に関する基礎研究を進めます。これにより,配管の振動やノイズの低減だけではなく,プラント配管における耐震性を向上させることができます。②では,プラスチック管の曲げ加工後に発生する経時変化を抑制して,目標形状に成形する技術を開発します。これにより,ユーザーが求める整然とした配管形状を実現することができます。



主担当:黄木 景二


超音波印加塑性加工の開発

金属加工品には,プレス等を用いる塑性加工(材料の変形流 れ)によって製造されるものがあり,材料固有の加工性や,材料と金型との界面性状で加工限界が決まります。その加工限界を拡げる手法の一つとして,超音波振動が利用されていますが,加工材料の内部組織および表面に及ぼす超音波振動の物理的な基本原理は未だ解明されておらず,学術的・工学的・経済的にも極めて興味深い領域であります。本研究では,塑性加工が可能な鉄鋼・非鉄材料において,超音波塑性加工の基本原理を金属学的および力学的に解明し,高強度難加工材といわれる焼結合金やセラミックスへの適用を試みます。これまでの研究において,超音波振動によって加工荷重が低減する(Blaha)効果の発現条件を調査し,定変位速度,又は定荷重状態において急峻に応力低下(ひずみ増大)を生じることが確認されました。この発現原理の解明は,レーザーや電磁波等の非接触エネルギーによる塑性加工へ展開できるものと期待されています。



主担当:高橋 学


曲がり管の加工技術とガスケットレス継手の
接触特性評価に関する研究

曲がり管または管の継手は配管システムの中で重要な構成要素であることがよく知られています。ここでは,以下の二つのテーマを中心として研究を行います。①曲がり管の回転引き曲げ加工技術の研究。②ガスケットレス継手の接触特性評価の研究。

①では加工過程において,しわ,扁平やスプリングバックなど不良形状の発生メカニズムを実験のみならず有限要要素法の解析により明らかにするとともに,加工精度向上のための最適な加工パラメータを提案します。②ではガスケットレス継手の接触部において,有限要素法により接触部にかかる面圧や接触面積などの接触状況評価のパラメータを算出します。それらのパラメータを用いてPerssonらの接触理論を応用したマルチスケール解析により接触部の漏えい特性評価を図ります。





主担当:朱 霞


配管内の流れを知り,科学し,
省エネルギーに貢献する

管路内の流れは整然と流れているわけではなく,圧力,粘性力,乱流の影響で非定常性や偏りを示します。少ないエネルギーで流体を輸送するためにはその非定常性や偏りを抑えることが重要です。本研究では配管の一要素であるエルボ(きつく曲がる曲がり管で,配管系には不可欠なものです)に注目しています。最近,本研究で行った実験により,途中の断面形状をあえて楕円にしたエルボが輸送性能を改善することがわかりました。この効果を物理的に理解し,最適形状を明らかにすべく追加実験や数値計算を行います。流体輸送の面で省エネ技術を躍進させ,来るべき新しいエネルギー社会に対応してゆきたいと考えています。





主担当:岩本 幸治


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Last modified: 2012-05-31T11:47:55+09:00
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