愛媛大学 機械力学研究室

仲田 利通(2012年博士後期課程修了)

仲田 利通

 私は、昭和51年に機械工学科を卒業以来、(株)アテックスにおいて、設計・開発に関する業務を携わってきました。私が設計主務として開発したクローラ型車両は、建設業や農業の資材運搬に使われます。不整地走行での大きな課題は振動低減であり、振動の要因は車両構造と路面凹凸から受ける外力です。製品化当時は、芯金なしゴムクローラと走行部構造の特許考案により振動低減目標を達成しましたが、車両走行時における振動低減法をより深く研究したいとの思いから、会社の理解、協力を得て、約30年ぶりに、博士後期課程に社会人学生として入学しました。機械力学研究室(曽我部雄次 教授)のご指導により、突起乗り越えの振動モデルによる振動と機体質量・車速・路面凹凸高さの関係及び車両構造・ゴムクローラ特性の関係の明確化、実際の路面走行時の振動特性を表現し得る力学モデルの構築を行うことができ、効率的な振動低減が可能となりました。研究成果として得られた開発指針は、わが社の走行車両の設計・開発のノウハウとして蓄積し、新製品の開発や信頼性試験における加速試験などに応用しています。現在は、会社に勤務しながら、工学部の非常勤講師として機械の設計製作に関する講義を受け持たせていただいています。

横山 哲也(1994年学部卒、1996年修士課程修了)

玉男木 隆之

就職後の状況

 私は1996年に自動車メーカに入社して以来、各種エンジンの開発設計を担当してきました。排ガス規制をクリアさせ、狙いのパワーと燃費を両立させる性能が得られるよう、日々苦労を重ねています。主としてエンジン内での燃焼制御に関係する、吸排気系、燃料噴射系、制御系の部品に携わってきました。昨年から二度目の海外勤務で欧州拠点に赴任し、市場でのエンジン品質調査・改善を行っています。写真は、ドイツ人スタッフと共に不具合車両のデータを取って、要因分析しているところです。

どんな研究室だったか

 自由に考え実践できる環境があり、自ら学ぶ姿勢のある方には最適な講座だと思います。扱う研究テーマにも、複合材料の特性モデル化とその検証実験など、広い分野に応用可能な基礎となるものがあり、役立ちます。研究室では、テーマに沿って実験装置を考え、設計し、資材を調達し、それを加工して組上げ、実験を行い、データを分析しました。特にモノ造りの会社で必要とされる一通りの工程を経験でき、幅広い知識が身に付きました。取組んだテーマでは、データ精度の面から深夜に実験する事もありましたが、その分、昼間に自分の時間が持てたのも有益でした。学会の巡り合わせにもよりますが、海外会場での英語による発表の機会もありました。ゼミでの海外論文・英語文献の読み合わせ等で力をつけ、海外発表に挑戦した経験は今でも活きています。今後は、より海外での勤務が身近になると思われますので、学生時代に英語力を磨く事は重要と考えます。当時から多少変化はあるかも知れませんが、取組む内容にも時間的にも選択肢が多い事は、この研究室の魅力の1つと思います。

研究室に配属される学生の方へ

 工学系の基礎知識の習得はもちろん必要ですが、社会で避けて通れない対人関係の調整力や自己の時間管理術も学んで下さい。更に、生涯続けられるような運動を見つけ、健康・体力面の維持向上もできるようになっておくと良いと思います。好きな仕事をしているとは言え勤務はハードですし、大きなプロジェクトになると1人だけではできません。同じテーマに取組むチームで、バランス良く研究を運営できるよう、良いメンバー/リーダーとなる体験を積んできて下さい。そして、いつかどこかでお会いしましょう!研究室で大きく成長される事を祈っております。

芝田 展宏(2011年学部卒、2013年博士前期課程修了)

芝田 展宏

 私は2013年大学院を修了し、三菱樹脂株式会社に就職しました。修了するまでの3年間機械力学研究室に在籍していました。機械力学研究室を選んだ理由は設計に関する事を勉強したかったからです。研究室ではANSYSやNastranなどの有限要素法を用いた解析ソフトで構造解析の研究をしていました。またCADやプログラムを使ったりすることもありますので初めは使い方を覚えるのに苦労しますが、やりがいのある研究室です。先生も授業が分かりやすく、優しい方ばかりなので分からないことがあっても質問に行くと理解しやすいと思います。現在は会社で設計を行っています。CADはもちろんの事、その他大学で学んだ知識を使えるやりがいのある仕事です。私が働いている会社でも有限要素法は設計の検討でよく用いられているのですが、大学時代に学んだ基礎知識があるので分かりやすいです。このように社会に出てからも使える技術を身に付けることができます。